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児玉語録

児玉語録5月号『世界卓球を振り返り、感じたこと』を掲載

2014/05/12



昨日で世界卓球選手権大会が終わった。今月の語録は4/28から5/5まで、
世界卓球選手権が開催されていたので、
その総括を含めて書くために、5/6の発行とした。

日本は男子銅メダル、女子銀メダルという結果であったが、
女子は福原愛が欠場した穴を、
石川・平野・石垣がそれぞれ自分の役割をしっかり果たし、
決勝まで進出したことは賞賛に値すると思う。素敵な笑顔と泣き顔が印象的だった。

男子が、初戦でギリシヤに負けた翌朝、倉嶋監督に電話をし、
水谷選手には、次のようなメールを送った。
「お早う!隼も本調子ではないけど、しっかりと責任を果たして、
完全に実力が付いてきたと思う。他の二人は心の問題、
ここは開き直って気持ちを切り替えること!それには笑い飛ばすこと。
ドーパミンが出て体中にエネルギーが充満します。選手のリーダーとして明るく笑顔で、
みんなを引っ張って行って下さい!期待しています!」
水谷選手の返信
「おはようございます。前回、前々回と予選で一敗してからのメダル獲得だったので、
再現してみせます。ご連絡ありがとうございます。」
倉嶋監督
「わざわざご連絡ありがとうございます。お心遣いに本当に感謝しております。
昨晩のミーティングで最後の瞬間まで、決して諦めないこと、
あと少しの勇気と思い切りがプレーに必要だということを話し、チームを再出発させます。
開き直って、今日からまた、ひとつひとつ頑張ります。ありがとうございました。」

このように二人からの返信を貰い、
日本は必ず立ち直り、結果を出してくれることを確信した。

水谷が大黒柱としてその重責を全うし、内容も良かった。
特にドイツ戦オフチャロフとの一戦はすばらしかった。明らかに実力が付いてきたと思う。
他の選手は技術の問題ではなく、
心・体のレベルが低く、特に心の強化が急務である・・・と感じた。

卓球競技は、昔から80%以上精神力の勝負だと言われている。
私は、大事な試合の前には、いつも紙に書いて選手に伝えている。

リードしたら、勢いに乗って、それ以上に思い切れ!
苦しいとき、負けているときは、開き直って思い切れ!
どんなことがあっても、“もうだめだ”と思うな
まだ、「プラスαの力」が残っていると思え!
“気力”と“執念”が相手より優っていれば、必ず「勝利の女神」が
微笑んでくれる・・・これは真理だ!etc
今回の日本チームに、これらのことを照らし合わせてみても、
大きな教訓とドラマがあったと思う。

“気持ちの切り替え”が、いかに大事か━と私は常に力説している。
この言葉はたった8文字だけど、軽く受け止めて欲しくない。
スポーツ・科学・学術・芸術・事業・企業経営、あらゆる分野で大切な
重要な言葉であり、この決断と行動力が成功を呼び込むのである。

ソチ・オリンピックでの浅田真央選手、ショートプログラムでまさかの大失敗。
メダルの望みが絶たれた中で、翌日のフリーで完璧な演技を見せてくれた。
その結果、世界のトップスケーター達が賛辞を贈ってくれた。
フィギュアの「皇帝」と言われた、プルシェンコ選手は、
浅田選手が成功させたトリプルアクセルを称賛し、「真の戦士」だと。
カナダのエルビス・ストイコ氏は、「私にとって今夜の主役は浅田真央だ」。
米国のミシェル・クワン氏は、「永遠に忘れられないパフォーマンスだ」
ソルトレーク王者ロシアのアレクセイ・ヤグデイン氏は、
「泣きたくなるほど素晴らしい」と称えた。

勝つために全力を尽くすのは当たり前だが、
負けと決まったあとに、
全身全霊を打ち込めるのは誰にでも出来ることではない━と思った。
金メダルより美しいものを見せてもらった。

本人は前日、「明日をどう乗り切ればいいのか、自分でも分からない」と言っていたが、
見事に気持ちを切り替え、翌日のフリー演技の後、
「私なりの恩返しが出来たと思う」と語った。

一方、金メダルに輝いた羽生結弦選手は、「金を取って言うのも何だけど、悔しい」と、
自分の思い描いていた演技ができなかったから・・・
19歳の羽生選手の向上心に脱帽した。

また、女子の金メダリスト・ロシアの17歳 ソトニコワ選手は、怒りを力に変えたのである。
「団体に参加できなかったことが悔しかった」
母国開催のオリンピックで初めて導入された団体戦で、
15歳のリプニツカヤ選手らの金メダルを勝ち取る活躍をスタンドから見ていた。
そして、「参加できなかった悔しさを演技にぶつけられた」と、
悔しさをバネに「気持ちを切り替えた」のである。

国際オリンピック委員会のバッハ会長は開会式で、
「勝利を気高く祝い、敗北を気高く受け入れる」と挨拶した。素晴らしい言葉だった。

何とも素敵な笑顔だった浅田選手、
優勝したが、これからの前向きなバネにした羽生選手、
悔しさをバネにしたソトニコワ選手。

今回の世界卓球選手権とソチ・オリンピックを振り返り、
自分自身と闘い続けてきた選手たちの『思いの強さ』と、
『努力』にどの位差があったのか
自分自身に与えるメダルは何色だったのか。
観ていた我々も共に考えてみたいと思った。

児玉圭司総監督

昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~現在
明治大学体育会卓球部総監督

(株)スヴェンソン 代表取締役会長

日本学生卓球連盟 会長

明治大学駿台体育会 名誉会長

昭和31年
世界選手権シングルスベスト16
昭和40年
第28回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和48年
第32回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和50年
第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督