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児玉語録

『心の才能を醸成させる方法』

2008/06/01

どうせ俺(私)なんか、この程度の者で、能の無い人間だから。
こんなセリフで、世の中を歩いている人間は、結構少なくない。
そういう人間は、初めから自分は最低という位置から出発するので、
何をしてもそれ以下にはならない。

最初に自分のマイナスをさらけ出すと、却って「人間味がある」とか、
謙譲の美徳とか言われて、一目おかれたりすることが、

日本の社会にはよくある話である。そうだからといって、

他人から尊敬され、信頼されることはない。
自分を尊敬できない人を、他人が尊敬してくれる筈がないのである。

自分に誇りを持って、自信を持って生きていないで、
「どうせ俺(私)なんかダメ人間だ」と生きている人は、

他人に馬鹿にされるのが落ち。自分自身へのプライドや自信が、

仲間や他人から信頼を勝ち取る・・・ということを忘れないで欲しい。
60年代の流行語に、「巨人・大鵬・玉子焼」という言葉があった。
これは子供の好きな物を羅列して、流行語になったものである。

当時、野球界は巨人軍、王貞治・長嶋茂雄のONコンビが大活躍し、
相撲界では、大鵬が双葉山以来の圧倒的な強さを誇っていた時代である。
入幕時から大人気で、スピード出世をして、一気に大関、横綱まで昇進した。
幕内優勝は、最多の32回。

その、元横綱大鵬のもとには、

「裸で学んだ人生観」の講演依頼が多数くるそうだ。
講演では、次のように語っている。(日本経済新聞(夕刊08. 5. 8号)

「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉があるが、

自分達の時代は
「苦労は買わなくても、ちゃんと天が与えてくれた」。
そういう意味では、今は不幸な時代なのかもしれない。
相撲社会に入門する時は、

「腹いっぱい食べさせて貰えれば、それでいい」
という気持ちだった。

「青春時代とは」と問われて若者から答えが出ない。

彼らに代わって「二度と今の若さはこないんだから、

今のうちに一生懸命頑張って何十年か後に振り返った時、

あの時はつらかったなあ、今思えばおもしろかったなあ、
と笑える思い出をつくる。そういうために一生懸命努力するんだよ。
若いときにしかできないことがあるわけだから」
という。

相撲の稽古は、毎日同じことの繰り返しで、つらいことおびただしい。
「さぼりたい」という気持ちとの戦いである。
それをコツコツ繰り返すことで、精神は鍛えられる。

とりわけ相撲では、忍耐と辛抱は「シコ」と「テッポー」がはぐくむ。
「相手は土と柱ですから、耐えるとは、これに向かって自分との戦いなんです。」
これを言うと「相撲社会は遅れてるね、と言われる。
そういう人は、「筋肉をつくるいろんな器具があるじゃないか、
ビデオで相手の研究もできるじゃないか、」と言う。

「相撲は瞬時に体が動く。頭で考えていては遅い。

ビデオなんか何の役にも立たない。
勝負は何秒かで終わるんだから。だから言うんです。相撲バカになれと」。

バカになるとは、邪心を捨てて相撲に打ち込むということ。
「愚直に体を痛めつけて、自分で体得しなければ相撲は勝てない」


あるところで、「心の才能」という言葉を聞いた。

これは、何事にも前向きで、素直に受け止めること。
そして、他人や環境のせいにしないで、努力すること。

この才能がない人は、他に優れた能力があっても、どこかで挫折してしまい、
世の中で活躍することは難しい。

「心の才能」を醸成するには、どこに自分の努力が足りないかを自問しながら、
何事にも謙虚で前向きに取り組むこと。
このことを肝に銘じて、今後の人生を歩んでいって欲しい・・・

と心から願っている

児玉圭司名誉総監督

昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~令和2年
明治大学体育会卓球部総監督
令和3年~現在
明治大学体育会卓球部名誉総監督

(株)スヴェンソン 代表取締役会長

日本学生卓球連盟 名誉会長

明治大学駿台体育会 名誉会長

昭和31年
世界選手権シングルスベスト16
昭和40年
第28回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和48年
第32回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和50年
第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督