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児玉語録

児玉語録6月号『村上和男先生を悼む』

2021/06/04



  
2021.6.1

『 村上和男先生を悼む 


生命科学研究者(遺伝子工学の第一人者)で筑波大学名誉教授の村上和男先生が、
4月13日に亡くなられた
村上先生とは約20数年前に、少人数のある会合で隣席になったのをきっかけに、    お付き合いが始まり、それ以来親しくさせていただいていました。
その後平成11年10月にスヴェンソンの全体ミーティングでご講演をお願いしました。
講演のテーマが「人の出会いと遺伝子暗号化について」というものでしたので、我々には少し難しい内容かもしれないと危惧したのですが、いざ拝聴すると、先生のお話は   実にユーモアたっぷりで、笑いの絶えない中で非常に貴重な示唆をいただきました。
しかも、その話の内容は以前ノーベル物理学賞の江崎玲於奈さんとともに皇居に呼ばれ、天皇皇后にご進講をされた内容と同じで、そのお話を我々にわかりやすく、明るく、楽しく お話しくださったのです。
その後、人間学を学ぶ月刊誌 『致知』 の2019年12月号で村上先生と 「祈りは人を救う」
というテーマで対談をさせていただきました。

村上先生を悼みつつ、これまで先生にお話しいただいた内容を抜粋し紹介いたします。

◆遺伝子研究は “1位のみ” を競い合う世界
『今や、遺伝子の解読についてはものすごく研究が進んでおり、
そういう中で僕たちもたくさんの遺伝子暗号を読んでいました。
稲だけで1万6000個もの遺伝子がありました。
研究チームの中で若い人たちが頑張ってくれてその成果があがったんです。
研究という世界は、「勝つか負けるか」 1位のみを競い合う世界なんですね。
だから金メダルしか世に出ることはできない。それが実情なんです。
2位以下は、「はい、ご苦労さんでした」と言われて、陽の目を見ることはありません。

◆登山家の三浦雄一郎さんの事例
登山家として、プロスキーヤーとして、様々な偉業を果たしてなお、80歳で3度目の   エベレスト登頂を実現した、あの意思とパワーはどこから来るのでしょうか。
三浦さんが特別な遺伝子を持っているというわけではないんです。 心の強さなんですね。
その心のあり方がスイッチをONにする
スイッチONにするということは、「決心」するということなんです。
一度決心すると、トレーニングによって体のスイッチがどんどんONになっていくんです。』

人生には「こちらが求めていると、それに関連したことに出会う」という、何か不思議なことが起こるものです。
論理的、科学的には説明しにくい不思議な現象が起こるのです。
これは自分の中で普段は働かなかった遺伝子が働き出した、ということです。
生命科学の分野から見ても、大きな夢を持ち、情熱を持って、明るく前向きに努力する、そして喜んだり、感動したりすることが、スイッチをONにする最も大事なことなのです。

◆あらゆる能力や可能性の源は遺伝子にある
「人間には目に見えない偉大な自然の力がありますが、
残念ながら95%以上の人が、この力を使っていない
その遺伝子のスイッチをONにすることが出来れば、奇跡を起こすことができます」。
スイッチとは、考え方のことです。
そのスイッチをONにするためには、高い志とプラス思考で物事を考えれば良いのです。


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<致知2019年12月号 対談より一部抜粋>

◆世界各地で頻発する異常気象 
〈村上〉 「地球に優しい」 という言葉がありますね。これはとても傲慢な言葉だと、    私は思うんです。人間の方が地球に守られて生きているわけですから、
「地球に優しい」 ではなく 「地球が優しい」 のです。
けれどもその守護も、そろそろ限界に近づいていて、人類がここで大きく発想を     転換しなければ、「成長の限界」どころか「生存の限界」を迎える局面にあるのでは   ないかと私は思っています。
〈兒玉〉 世界中の人がこうした状況を意識して、環境改善に関心を持つような方法は  ないものでしょうか。
2019年1月18日には、南半球のオーストラリアで気温が48℃まで上昇し、同じ日に   北半球のロシアでは− 57℃を記録したそうです。
気温差はなんと105℃ですよ。要するに熱波と寒波、洪水と干ばつという両極端な現象が地球という1つの惑星の中で加速度的に増発しているんです。
18世紀の中頃から比べると地球の平均気温は1℃上がっているそうですね。
もし2℃上がれば植物は20~30%枯れてしまい、3℃上がれば70%、4℃上がれば    80%が枯れるといいますから、これ以上温暖化が進んだら大変なことになります。
〈村上〉 原発に反対するのはいいんですが、反対するならエアコンの利用を多少なりとも控えるといった行動を伴わなければね。
自分はエアコンを使い放題なのに「反対、反対!」といくら大声で叫んでも、説得力は  ありません。
「だったら自分は何をする?」と自らの胸に問う姿勢がなければ、地球環境問題は     良くならないと思うんです。
京セラの稲盛さんはご自宅であまりエアコンを使われないので冬にお孫さんが訪れると「北極みたいだ」と驚かれるそうです。一人一人がそんなふうに自分の行動を律して   いかなければ、人類はいずれ滅んでしまうでしょう。
極端な話に聞こえるかもしれませんが、歴史上どんなに栄えた文明も必ず滅びている わけですから、決してありえない話では無いのです。

◆21世紀を生命の世紀に
〈村上〉 私たちはこの21世紀をどんな世紀にしていくべきか。
私は、「命の世紀」にしていくべきだと思うんです。
命というものを全ての中心に据えて考える世紀にしなければならないと思うんです。
これまでのように、人間だけが独り勝ちして、好き勝手を許される時期はもう過ぎている と思うんです。
〈兒玉〉 本当におっしゃる通りだと思います。環境問題の中でも、
最も懸念される問題は 『温暖化』 で、その原因は概ね二酸化炭素の増加です。
その二酸化炭素を吸収してくれる森林が、人間の都合で今どんどん伐採されています から本当に心配です。
日本は周囲を海に囲まれ、昔からたくさんの海産物に恵まれてきましたし、
陸地にはたくさんの緑があって、本当に素晴らしい国だと思うんです。
けれども最近はコンブやわかめの収穫量が激減しているそうですね。
これは森が少なくなってきたことで、川を通じて海に流れ込んでいた栄養分が減ってきたことも大きな要因だとされています。
ですから今後は、森林を守り、木々を大事にすることをもっともっと日本人が意識して  いかなければならないと思っています。

◆祈りが秘めた計り知れない力
〈村上〉 祈りというと、無力な人が行うものだという印象があるかもしれません。
けれども私は、祈りとは『生命の宣言』だと考えているんです。
日本語の『いのり』という言葉の語源は『生宣り(いのり)』だと解釈されています。
『い』は=生命力(霊威ある力)、『のり』は祝詞のりとみことのりの『のり』と同じで、宣言を意味します。
ですから『祈りは生命の宣言』なんです。
人類は、宗教が生まれる前から祈りという行為を続けてきましたけれども、それは祈りに 思いもよらない力があることを実感していたからであり、だからこそ「生命の宣言」とも   いうべき決然たる思いを持って手を合わせてきたのだと私は考えています。

最近は祈りの効果が科学的に研究され始めていてストレスによる免疫機能低下の改善を促したり抑うつからの回復効果をもたらしたりするという報告がなされています。
アメリカで行われた実験では、快癒の祈りを行った重病患者は、祈らなかったグループに比較して病気に何らかの効果があったという結果も出ているんです。

日々の行い(瞑想や祈り)によって他者への共感や慈悲の心を育む事は、
免疫機能の強化にも何らかの影響を及ぼすことがわかりました。
日々の祈りや瞑想が、ある心理状態を作り、それが積み重なることで遺伝子を介して 体に影響を及ぼしたのではないかと私は推察しています。

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最後に、
遺伝子工学、分子生物学の第一人者として研究を続けてこられた先生が、
いつもお話の軸にされていると感じるのは、『遺伝子というものは、科学のエビデンス  だけでは説明しにくい“目に見えない不思議な何か”が揺り動かすものである』 ということ。
それは、祈り、夢や情熱をもって事に当たり、喜んだり感動することで、
眠っている遺伝子がスイッチONの状態になるということです。
科学者が語る、心の大切さを 改めて胸に刻みました。

村上先生 本当にありがとうございました。 安らかにご永眠ください。
 

児玉圭司総監督

昭和35年~45年
明治大学体育会卓球部監督
昭和45年~現在
明治大学体育会卓球部総監督

(株)スヴェンソン 代表取締役会長

日本学生卓球連盟 会長

明治大学駿台体育会 名誉会長

昭和31年
世界選手権シングルスベスト16
昭和40年
第28回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和48年
第32回世界卓球選手権 日本代表監督
昭和50年
第33回世界卓球選手権 日本代表総監督兼監督